Arai RAPIDE-NEOは、ネオクラシカルなスタイルが特徴のヘルメットです。 どんなバイクにもマッチするデザインなので、とても人気がありますよね。Arai RAPIDE-NEOを実際に1,200日あまり使って感じたことをまとめてみました。
ネオクラシカルとは「やりすぎ感」の払拭
ベンチレーションを最小限にしたことで実現したネオクラシカル。
Arai RAPIDE-NEOのスタイルを語る上で重要なものはクラシカルな雰囲気と性能をどうやって両立しているのかということではないでしょうか。
これまでフルフェイスヘルメットはバイクの性能とともに安全性・快適性を進化させてきました。なかでも快適性については額や頭頂部にベンチレーションを設置することで走行風を効率良く取り込めるようになっています。
しかしながら、このベンチレーションがレーシングマシンの空力パーツような雰囲気を醸し出してしまいます。
スーパースポーツバイクならこれ以上ない最高の組み合わせとなりますが、そこまでレーシングイメージを重要視していない車種もあります。ライダーにとっても「やる気満々」よりも「もっとナチュラルな感じで乗りたい」といったニーズに応えるデザインが好ましいと思うこともありますよね。
Arai RAPIDE-NEOはベンチレーションが額や頭頂部にはありません。つまり、ツルンとしたフォルムなのです。
これがレーシー過ぎないクラシカルなスタイルを生み出しており、自分にはちょうどよいと感じるライダーが多い理由だと思います。どんなバイクにもマッチしやすく、シンプルなウェアとのコーディネートも楽しむことができます。
魅力を感じるディティール
突き出したアゴの造形が迫力!
Arai RAPIDE-NEOの第一印象は突き出したアゴではないでしょうか?
Araiのヘルメットは安全性を追求し、衝撃をかわす性能に着目した結果【R75】を提唱しています。
“丸く、滑らかで、強い”帽体がが理想的なのだと公式に言っています。
たしかにラインナップされている製品はどれもエッジが立ったような部位はなく、緩やかな丸い面で構成されています。
そんな中で、RAPIDE-NEOは割り切ったデザインだなと、はじめて見たときは驚きを感じました。
では、安全性を犠牲にしているのか?
実はそれほど突き出していません!巧みなデザインによって突き出したように見えているのです。
平面に近いアゴ部分につながる頬の部分を少しへこませています。アゴの面と頬の面が接する部分をわずかに盛り上げることで、あたかもシャープなエッジが立っているかのように見えるわけです。
【R75】に則ったラウンドシェイプを守りつつ、アゴ部分が前に突き出したように見えるアグレッシブなデザインに仕上がっています。
源流は4輪車用競技用ヘルメット?
Araiはバイク用だけでなく4輪車の競技用ヘルメットも手掛けています。
4輪車の競技用ヘルメットはバイク用ヘルメットとは違い、上下方向の視界はそれほど必要ではないそうです。
またアクシデントの場合、前面から衝撃を受ける可能性が多いため顔面側のプロテクション面積を多くしたいということもあり、アゴ部分が大きい印象です。
Arai RAPIDE-NEOのデザインから受ける印象はバイク用というよりも4輪用ヘルメットのように感じる大きな要因は、シールドの収まり具合にあるようです。
比較画像を見て分かる通り、バイク用の見事なまでの滑らかなフォルムとは違い、シールドの収まり位置が一段下がっています。
4輪用も同じく一段下がっていますよね。この造形上の共通点がバイク用というよりも4輪のイメージに近いように感じるポイントかと思います。
シールド取り付け部分が秀逸!
Arai RAPIDE-NEOのデザインで一番気に入っているのがシールドの取り付け部分のディティール。
取り付けボルトが露出しているメカメカしい造形は現在のバイク用ではあまり見かけません。
このあたりも4輪用に近いのかと思いきや構造はかなり異なっています。やはりバイクのアクシデントでは転倒は避けられないので4輪用の構造では問題があるのかもしれませんね。
バイク用はツルンとした形状のカバーがシールド取り付け部分を覆っているのですが、形状の違いこそありますがやはりRAPIDE-NEOもカバーがシールド取り付け部分を覆っている事がわかります。このあたりは同じ理論で構成されていると見て間違いないでしょう。
カラーバリエーションが豊富!
Arai RAPIDE-NEOはカラーバリエーションが豊富です。
公式サイトから引用します。
使ってみてわかった快適性
熱気はこもらないのか?
ネオクラシカルフォルムのために頭頂部のベンチレーションをなくした。ということはそれだけ熱気がこもりやすいのでは?
Arai RAPIDE NEOで外気を取り入れる部分はアゴのスリットとシールド上部のブローベンチレーションから行っています。
そして重要なのは取り入れるだけではなく、ヘルメット内の熱を帯びた空気を引き抜く仕組み。
つまり排気を効率良く行うことではじめて新鮮な空気を取り込む事が可能になります。上の図で青い矢印は取り込まれる走行風。緑色の矢印はヘルメット後方の排気スリットに負圧を発生させてオレンジ色の矢印のような排気の流れを生み出します。
この仕組のおかげで熱気を排出してヘルメット内部の温度上昇を防いでいます。
その感覚を例えるなら、頭頂部ベンチレーションつきのヘルメットだと「扇風機の正面で直接風を浴びる涼しさ」と、Arai RAPIDE NEOだと「扇風機の後ろ側で吸い込まれる風で感じる涼しさ」の違いといった感じです。
前傾姿勢のバイクでも広い視界
4輪競技用ヘルメットの雰囲気を色濃く感じるArai RAPIDE NEOですが、バイクでの使用に問題はないのでしょうか?
4輪の場合は左右方向の視界が重要ですが、バイクは車体を傾けてコーナリングするため左右方向に加え上下方向の視界がとても重要です。バイクの運転では視界は広ければ広いほど良いと思います。実際にArai RAPIDE NEOを被ってバイクにまたがり運転姿勢をとったときに視界が狭いと感じることは全くあありません。左右方向はもちろん、上下方向も広いです。とくに前傾姿勢となるバイクに乗ったときでも、開口部がおでこ方向へ広いので上目遣いで前方を見たときでも帽体の一部が視界を遮ることはありません。
このあたりはさすがAraiだと感じます。
ただし、バイクを停めたとき・降りたとき(トイレで用を足す時)に下方向を見たい場合は注意が必要です。
Arai RAPIDE NEOの場合、一段下がったシールドの収まりのためなのかこの部分が視界を遮ります。
これはフルフェイスヘルメット全般に言える宿命でもありますが、私が使ったことのあるRX-7シリーズよりもRAPIDE NEOは若干見にくいと思いました。
トイレで用を足したい場合は素直にヘルメットを脱ぎましょうね。
長時間での疲労感
長時間使用した場合の疲労感についてはどうでしょうか。これについては頭の形に合わせたフィッティングができているかどうかが重要になりますが、ヘルメットそのものの性能としての点から見ていきます。
重量は1,520gほどありますので決して軽い部類ではありません。ただ、重量配分などの効果なのか首や肩に負担を感じる事はありません。
高速道路走行時の風切り音は大きいと感じたことはありませんが静かというわけでもありません。気になる高音、疲れる低音の風切り音などはなく標準的なレベルだと思います。
また、風の巻き込みなども顎の下に設置されたエアロフラップの効果で殆ど感じません。このエアロフラップは風の巻き込みを防ぐとともに空気の流れを整理して口元の空気を排出する働きもあります。
総合すると、RAPIDE NEOだから「疲れる」という点はとくに無いと感じました。
欠点は有る?無い?
Arai RAPIDE NEOに欠点はあるか? あります。
リストアップすると…
●やはり、頭頂部が暑い
頭頂部のベンチレーションから直接走行風を取り込むような仕組みに比べるとヘルメット内、とくに頭のてっぺんに熱気がこもっていると感じがします。
とはいえ、全く涼しくないということではありません。内装スポンジの中を空気が動き熱気が排出されていることを感じます。Arai RAPIDE NEOのネオクラシカルなスタイルを実現するために排除したエアベンチレーション。それを補う工夫は様々ありますが、やはり真夏のライディングでは暑く感じます。
もっと空気が抜けて欲しいし、できれば走行風を直接取り込む仕組みがあったほうが良いなと思います
●シールド交換が難しい
シールド取り付け部分のカッコよさは惚れ惚れするのですが、シールドを交換するためには手間がかかります。2本のボルトを外すとシールドと取り付けベース部分が組み立てられて一体になっています。つまり、シールドを交換するためには取り付けベースをすべて分解しなければなりません。シールドを2つのパーツで挟み込むような構造なので複雑とまでは言いませんが、正直めんどくさいです。
Araiのフルフェイスヘルメット全般に言えることなのですが、シールドの取り外しにはコツが必要だったり手間がかかるように思います。もっと簡単にできるようになると嬉しいのですが。
●インカムのスピーカースペースがない
内装のシステムパッドと呼ばれる耳周りの部分を取り外すとスポンジ部分に丸く切り込み線が入っています。なるほど、直径はちょうどスピーカーの大きさなのでこの部分のスポンジをむしってセットすれば良いのだなと思い両面テープで薄型のスピーカーを貼り付けてRAPIDE NEOかぶってみました。
とても…とても痛かったです。スピーカー厚みを吸収できるほどの深さはなく耳にガッツリ当たってしまいます。
結局、自己責任でシステムパッドの発泡スチロール部分を削ってスピーカーのスペースを作りました。
ユーザーの声
ここまで私の個人的感覚で色々お伝えしたのですが、ネットで拾ったユーザーの意見を見てみましょう。
RAPIDE NEOを購入して満足しているユーザーの声です
Arai RAPIDE NEOを使ってみて、とても安全な性能が高くて心地よい着用感があることを実感しました。バイクに何度も乗って、このヘルメットは自分の頭をしっかりと守ってくれていることに安心感」また、デザインもシンプルでかっこいいので、自分にぴったりのヘルメットがシンプルになった感じです。(30代男性)
Arai RAPIDE NEOは、とてもフィッティング感が高く、頭にフィットしている感覚があります。長時間のライディングでも、疲れにくく快適に着用できます。デザインも非常にシンプルに洗練されていて、どんなスタイルにもも合わせやすいので、おすすめです。(20代女性)
以前は他のブランドのヘルメットを使用していましたが、Arai RAPIDE NEOに変えてから、とても快適になりました。以前は長時間のライディングで首が疲れることがありましたが、Arai RAPIDE NEOに変えてからはそのようなことがなくなりました。また、デザイン性も高く、周りからも好評でした。(40代男性)
これらのユーザーの声からも、Arai RAPIDE NEOが高い安全性能やフィッティング感、洗練されたデザイン性などが評価され、多くのユーザーからサポートを受けていることがわかります。
RAPIDE NEOに対して否定的なユーザーの声です。
アライ RAPIDE NEOのデザインは好みが分かれるところですが、私は全体的にシンプル過ぎると感じました。また、通気性が悪く、夏場のライディングでは熱くて辛いです。(30代男性)
Arai RAPIDE NEOのフィッティング感は他のAraiモデルと比べて劣っていると感じます。特に、前頭部が狭くて圧迫感を感じるため、長時間のライディングでは頭痛が滑らかになります。(40代)男性)
Arai RAPIDE NEOはシールドの曇りが正常、雨天時には見づらくなります。また、シールドの遮断が固く、操作がしにくいと感じました。(20代女性)
これらのユーザーの声からは、Arai RAPIDE NEOに対してデザイン、通気性、フィッティング感、シールドの曇りや開閉の操作性について否定的な意見があることがわかります。が異なる場合があるため、購入前には自分に合ったヘルメットかどうか、よく検討する必要があります。
結論:買ってよかったか?
私はとても良かったと思います
これまで様々なメーカーのヘルメットをたくさん使ってきました。
それは、あくまで道具として必要だから使っていたわけで、信頼感以上の好きとか嫌いとかという感情はありませんでした。でもArai RAPIDE NEOは一味違います。手にとって眺めてしまう事があるんです。作り込まれたディティールには感動すら覚えます。
欠点と感じた部分を挙げましたが、それを超える魅力を感じているのも事実です。自分のバイクとの向き合い方にちょうどフィットするヘルメットにやっと出会えたなと思っています。
もし、Arai RAPIDE NEOが気になっている方は店頭でご覧になることをおすすめします。手にとってみて被ってみて欲しいです。
それと、標準の平面シールドは大変かっこ良いのですが、現在はプロシェードというサンバイザーがついたシールドを使っています。日光が眩しいときや暗くなったときに対応できるすぐれものです。こちらの記事もぜひご覧ください。