バイクには定期的なメンテナンスが必要です。特に長距離を走る場合や、悪天候の影響を受ける場合は、より頻繁なメンテナンスが必要になります。メンテナンスを行うためには、適切なツールが必要です。しかし、バイクの車載工具を通常のメンテナンスに使用することはおすすめできません。本記事では、その理由について詳しく説明していきます。
Contents
車載工具の問題点
バイクには、車載工具が搭載されています。これらの工具は、修理やトラブルに対処するために、緊急時に使用するためのものです。これらの車載工具は、一般的なメンテナンス作業には向いていません。理由は以下の通りです。
コストダウンによる問題
使うとヤバい車載工具 第4位 プライヤー
プライヤーを使うケースはあまり多くないが、ケーブル式のクラッチの遊び調整などでは必要です。ボルトやナットのような角のない部品である場合が多く、申し訳程度の筋が入っていたりします。ここを車載工具のプライヤーで回すとだいたい削れます。くわえた跡がガッツリ残りますよね。把握力が低いのにくわえる部分の仕上げが悪いから傷がつくだけで回ってくれません。で、さらに力を入れと回るが大きな傷が残ります。なるべく使いたくない工具です。
使うとヤバい車載工具 第3位 ドライバー
黒いグリップに軸を差し込んで使うものが一般的でしょうか。片方がプラス。もう片方がマイナスになっています。ドライバーにはネジのサイズに合わせて大・中・小のサイズがあるものなんですが、車載工具のドライバーは「細めの中」。つまり小は大を兼ねるという考え方ですかね。ネジのサイズに合わせていませんからあてがったときの遊びが大きいです。材質も弱いので一度使っただけで先端にダメージが残りました。
バイクのメーカーは、車載工具をできるだけコストダウンすることを目的としています。そのため、車載工具は一般的なメンテナンス作業に必要な精度や耐久性を満たしていないことがあります。例えば、ドライバーの先端部分は軸と同じ素材で耐久性がなく、硬いネジに対応できない場合があります。また、プライヤーは握る部分の長さが短くくわえる力が弱いです。また仕上げも良くないので、部品に傷が残ります。
私が普段使っている工具を紹介します。けっして高級品ではありませんが良質で信頼できます。長年使っていますが、満足度は高く、コストパフォーマンスに優れています。
精度が悪いので確実に壊します
使うとヤバい車載工具 第2位 スパナ
車載工具は、緊急時に使用するためのものであるため、作業が困難な場合があります。例えば、車載工具の中には、ネジを締める・緩めるための適切なトルクを発生させることができない場合があります。具体的には力をかけた時に口が開いてしまい、ボルトやナットの角をナメてしまうことがります。そうなると普通の道具では取り外せなくなってしまい、バイク屋さんにお願いするしかありません。
ネジを壊す可能性が高い
車載工具を通常のメンテナンスに使用する場合、ネジを壊す可能性が高くなります。理由は、車載工具が一般的なメンテナンス作業に必要な精度や耐久性を満たしていないためです。特に、硬いネジに対応するために、力を入れすぎた場合、ネジが緩むだけでなく、ネジが壊れてしまうこともあります。
車載工具を使用する場合の注意点
車載工具を使用する場合には、以下の点に注意する必要があります。
緊急時以外は使用しない
車載工具は、緊急時に使用するためのものであるため、通常のメンテナンスには使用しないようにしましょう。代わりに、適切なツールを使用することで、作業をより正確に、かつ効率的に行うことができます。
スパナよりもメガネレンチをおすすめします!
また、力をかける部分に使用するなら上で取り上げた「コの字型」のスパナではなく「ボルト・ナット全体をホールド」するメガネレンチをおすすめします。
コの字型のスパナでは2箇所にだけしか力が加わらないためナメるリスクが上がります。
メガネレンチなら6箇所に均等に力を加えるのでナメにくい特徴があります。
とはいえ、狭い場所やメガネレンチを通せない場所もあるのでスパナも必要となる工具です。
ボルトナットに強い力をかけるときには工具の性能がモロに影響します。ボルトナットをナメると非常にめんどくさいことになりますので、良質な工具を揃えてみてはいかがでしょう?
適切なトルクをかける
使うとヤバい車載工具 第1位 六角レンチ
ネジを締める際には、適切なトルクをかけることが重要です。車載工具はトルクをかけるための強度が備わっていない場合があるため、適切なトルクをかけることができないことがあります。そのため、適切なトルクをかけるためのツールを使用することをおすすめします。
例えば6角レンチは強度と品質の差を感じやすい工具です。車載工具では先端は切っただけでとくに加工はされていませんが、大手工具メーカーのものは丁寧に角を削った「面取り」がされています。
先端の面取り加工はあるとないとでは「差し込んだとき」の感触が違います。六角レンチはしっかり奥まで差し込まないといけない道具なのに、その感触が伝わらないのはダメですね。
また材質にも注意する必要があります。小さいサイズではとくに強固さが要求されます。実験で大きな力を加えたところ、ぐにゃという感触とともに空回りしました。工具側の角がナメてしまいただの円柱の棒になってしまいました。
ブレーキローターなどではネジロックという接着剤で回り止めを行うことがあり、かなり力をかけないと取り外すことができません。こういった部分には車載工具の六角レンチは絶対に使わないほうが良いです。
あと、是非オススメしたいのは長手側の先端が「ボールポイント形状」になっているものです。
なにが良いのかというと、本来垂直に差し込んで使用する工具ですが、多少角度がついていても回せます。
本締めのときは短い方を差さなければですが、本締めまでの「早回し」に最適な構造です。
良い工具は使い心地がかっちりとしています。このかっちりとした感触は実はとても大切な情報なんです。
しっかりと力がかかっているか、これ以上締めてはいけないとか。工具はバイクとの対話をしてくれるものだと思います。
良質な工具でバイクとの対話を楽しむ
質の良い工具がもたらすものはバイクいじりの楽しさ。
車載工具はあくまでも緊急用のものと割り切りましょう。通常のメンテナンスに使用することはおすすめできません。車載工具は、コストダウンによる精度や耐久性の問題から、ネジを壊す可能性が高いためです。また、パーツを傷つける恐れもあります。
しかし、ツーリング途中でやむを得なく車載工具を使用する際には、過度なトルクをかけないことが望ましいのですが、バイクの構造上強い力で締め付ける必要がある部分などに使った場合、ボルトナットの破損がないかをしっかりチェックすることをおすすめします。
バイクのメンテナンスには、正確で安全な作業を行うために、適切なツールを使用することが大切です。車載工具は、緊急時に使用するためのものであり、通常のメンテナンスに使用することはおすすめできません。適切なツールを使用し、正確で安全な作業を行いましょう。
また、バイクの各部は「締め付けトルク」が厳密に決められています。
本来なら、車種ごとに用意されている「サービスマニュアル」に記載されているトルク管理に従って作業しなければなりません。
この記事はあくまでも日常メンテナンスに車載工具ではなく良質で信頼できる工具を使用することをオススメする意図で作成しています。
皆さんの楽しいバイクライフのお手伝いができれば嬉しいです!
ランラン!